2026年も始まったばかりですが、山火事や大雪、地震など多くの自然災害が多発しております。しかしながら自然災害ではないと思われる事件が昨日発生してしまいました。笹子トンネルの水流出事故です。
笹子トンネルと言えば覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、「天井崩落事故」で大惨事を生んだあの中央道のトンネルです。今回は「防災本管」が破裂して水が吹き出たとのことです。
「防災本管」とは非常時の散水用の水などを蓄えておくため、常時ある程度の水圧で水を通しておく管路のことですが、通常想定される水圧プラスαの水圧に耐えられるよう設計されています。管路の弱い部分というのは通常管路と管路をつなぐ「継手」と呼ばれる部分で、おそらくこの継手部分に何らかの劣化が発生し、今回の惨事に至ったものと想定できます。
劣化には例えば金属の腐食のようにそのまま何もしなくても経年につれ、どんどん劣化していく「自然劣化」と例えば局部的に何かの外圧が加わりその部分が著しく劣化しているにもかかわらず適切なメンテナンスがされていないことに起因する「強制劣化」の2つがあります。今回はどちらの劣化なのか?まだ詳細は出ていませんが、過去の崩落事故の経緯から後者の「強制劣化」、もしくは二つの劣化が原因の「複合劣化」ではないかと私は思います。逆に高速道路にあるような比較的長いトンネルには「防災本管」というものはどこでもありますが、他のトンネルで「防災本管」が破裂したというのは聞いたことがないので、設置されている環境やその土地の気候など様々な要因が絡むものの「自然劣化」のみが今回の事故の要因であるということはあまり考えにくいと思います。
そもそも「天井崩落事故」で天井のアンカーボルトの施工不良が原因であったことを考えると、このトンネルは他にも何か問題があり、それが原因で構造的にある一点に負荷がかかっている可能性もあります。一点にかかる負荷がトンネル全体に「歪み」を発生させ、それが経年とともに進行し、事故に至るケースはあり得ます。
今回は大きな人的被害は幸いにもなかったようですが、「天井崩落事故」後、国がメンテナンス基準を見直すなど改善が図られてきたとはいえ、我々が想定している以上に劣化は進行しています。国や自治体、ライフライン企業に対しては、安全に対する費用は惜しまず、しっかり点検・補修を強化してもらえることを強く望んでおります。
