「夏季休工」という言葉を最近よく耳にしますが、ご存じでしょうか?
国土交通省が一部の国道事務所の工事で既に試行実施しているとのことですが、要するに「暑い時期の1~2ヶ月間は工事を一時休止(休工)としましょう」という施策です。この施策は「近年、猛暑が長引く夏季に無理に工事をして熱中症などを多発させ、作業員の生命に関わるような危険行為は避けるべきである」という考えのもと、施行されるもので、対象は「緊急性の高い工事」を除く工事となっているようです。「緊急性の高い工事」とは例えばすぐに補修しないと国民の生命に関わるような工事(自然災害により地盤が緩み、今にも土砂崩れが起きそうな急傾斜地の法面工などのこと)を指すようで、これらを除く工事を対象に今後契約する工事で来年の夏を跨ぐような工事が今後の対象となるようです。
この施策は、たしかに近年の異常気象を考えると、暑い時期に無理に工事する必要は無く、作業員の命を考えれば非常に良い施策であると私個人的には思っています。一方で空いてしまった「1~2ヶ月はどうするか?」についてですが、勿論、休工とはいえ、この期間に何もしないと工期だけが延びてしまい、採算性の悪い工事が多発してしまうことが予想されます。おそらくこの休工期間では休み明けの材料準備・手配(たんに確保のみならず工場制作可能な「プレキャスト部材」の準備など)に当てたりすることで有効に使うように考えているのでしょう。何でもやり始めは想定外の問題や課題が出るので、進めていく中でうまく解決しながら、よりよい方法を見つけ出してほしいものです。また、この施策ですが、たんなる「働き方改革」だけでなく、「土木従事者不足」の歯止め効果も期待できると思います。「夏季休工」の魅力が少しでも若者に伝わればそれなりの効果が得られるかもしれません。
今より良くするためには「失敗を恐れず新たな挑戦に挑む」しかありません。作業員の安全を通じて、未来に向けたさらなる社会資本整備の充実に向け、本施策がうまくいくことを祈念しております。